蚊についてのQ&A
「蚊は何メートルの高さまで飛んでくるのか?」
コガタイエカ(コガタアカイエカ)でしたら、風に乗って、長距離を移動した報告がありますのでかなり高くまで上がると思います。ヒトスジシマカなら、庭木などに待機しているのであまり高くは上がらないと思われますが、私は3階(約15m?)の部屋で2回、刺されており、2階(5m?)の建物内にも入って吸血された人がいます。これ以上の高さについては分かりませんが、20mくらいまでは可能性がありそうですね。ヒトスジシマカよりは、アカイエカの方がもっと高くまで上がると思います。3階(約15m?)の部屋で5回くらいはこれまでに侵入しています。
「蚊はどこにいるのか?」
低い茂みなどに潜んでいることが多いです。物陰に隠れていたり、トイレ壁面などの湿度が高めの所にもよく留まっています。
「蚊は何の血を吸うのか?」
ヒトが好きな蚊(ヒトスジシマカなど)や、馬や牛などの大きな動物が好きな蚊(シナハマダラカなど)、鳥が好きな蚊、豚が好きな蚊などあります。フタクロホシチビカやコガタクロウスカなどのように、カエルやヘビなどの冷血動物を吸血する蚊もあります。
「蚊は共食いするのか?」
一番身近なのはトラフカクイカですし、トワダオオカなどのオオカ属も挙げられます。高密度になれば、弱った蚊を食べることは、アカイエカやヒトスジシマカでもあります。
「蚊は色が分かるのか?」
淡色より濃色を好む傾向があります。白黒しか判断できないと思われます。
「蚊は血を吸わなくても生きられるのか?」
吸血は産卵のためなので、水や糖分を含む水で生きられます。
「蚊はどのくらい生きるのか?」
飼育しておりましても、オスは1カ月程度で早く死にます。メスは種類にもよりますが、2〜6カ月ほど生きます。
「蚊についての本は?」
蚊の科学 佐々学ほか著 図鑑の北隆館
蚊 池庄司敏明著 東京大学出版会
蚊の博物誌 栗原毅著 福音館日曜日文庫
蚊(カ)の話 栗原毅著 北隆館
害虫博物館 安富和男著 三一新書
へんな虫はすごい虫 安富和男著 講談社
暮らしの中のおじゃま虫 上村 清著 井上書院
おじゃま虫のお通りだ 上村 清著 丸三製薬叢書
蚊学の書 椎名誠著 集英社文庫
虫実話 アスペクト
などがあります。
「私の学校は、どぶ(?)みたいなのがたくさんあって、そのせいで、蚊が山のようにいます。私はよく刺されてしまい、すぐに薬を塗っているのですが、ある友達が、「かゆみ止めは、体に悪いから塗ったらダメだよ。」と言って、こう続けてくれました。「蚊は、人間の静脈の血をすっているんだよ、だから、体の悪いものを体外に出してくれているんだよ、そこにかゆみ止めや薬を塗ってしまうと、悪いものが出せなくなってしまうから薬を塗らないで置くのが一番いいんだよ。」・・・周りの友達は、信じているのですが、どうしても納得できません。私は薬を塗って早く処置をした方がいいと思うのですが、実際はどうなのでしょうか?教えて下さい。」(徳島県 中学2年生)
こんな話は初めて聞きました。結果から言うと大間違いです。まず、日本では、ひどく刺されても数匹で、その数匹が吸う血液の量は非常にわずかです。静脈というより毛細血管ですね。悪いものがあったとしても「体外に出す」ような量ではありません。むしろ、唾液を入れてかゆみを起こさせたり、病原体を一緒に体の中に入れて悪いことをする方が圧倒的に多いです。
今売っているかゆみ止めは、炎症を起こすのを防いだり、かゆみを和らげる程度の薬です。塗ったとしても、蚊が刺す前の状態に戻すよう、蚊の唾液や蚊が入れた病原体をも消してくれるものでもありません。ですから、薬を塗っても塗らなくても、悪いものが出るとかいうこととは違います。さらに、薬を塗らなければ、傷口から唾液や病原体が蒸発してくれるわけでもありません。つまり、薬でふたをすることにもならず、実際には、逆に刺し口から細菌等が入るのを防ぐ働き(殺菌効果)をもつ薬もあります。蚊に刺されて、かゆくなければ薬を塗らなくても数日後に自然に治りますし、かゆくて仕方がないときには、かゆみ止めを塗る、というようにすればいいと思います。
「蚊は発情期があって、その限られた期間しか血を吸わない?」
動物のような発情期はありません。アカイエカのように成虫越冬する期間は、吸血しませんが、蚊が活発に動き回れる温度なら、吸血します。ただ、砂糖水を十分に吸った後の期間、吸血してから産卵までの期間、羽化して間もない期間、歳をとった蚊は吸血しません。それ以外なら特に夏にヤブカ、春から秋にアカイエカ、冬の地下街などでのチカイエカはいつでも吸血します。上記の「吸血しない期間」は一斉に起こるものではもちろんありませんし、いずれかの蚊は吸血しますから、気は抜けません。
「蚊のオスは女性を吸血し、蚊のメスは男性を吸血する?」
間違いです。蚊はメスしか吸血しません。そして、ヒトの性別を区別して吸血するのではありません。
「すごく大きい蚊っていますよね、あんな蚊に刺されたらかゆいんでしょうね」
5cmほどの大きさならガガンボを指していると思います。ガガンボは双翅目ですが、吸血しません。ヒトに危害を加えません。ガガンボの別名は「蚊トンボ」です。この別名は、関西では聞いたことがありませんでしたが、北陸で聞きました。
「校庭のビオトープの学習をしています。草むらをつくるとヤブ蚊が大量発生するからやめた方がいいと先生がいいます。先生は、草につく「つゆ」に蚊が卵を産んでそれが孵化するといいますが、本当でしょうか?蚊のライフサイクルからすると、草のつゆにたとえ産んでも孵化までもたないと思うのですが。」(東京都 小学校5年生)
結論を言えば、間違いです。草むらはヤブカの「休息場所」にはなりますが、「草むら」があるから発生するのではありません。あくまでも、発生した蚊が、「ひそむこともある」程度です。「草むらを作れば、草むら内に、蚊に好適な水溜まりがたくさんできる」なら、蚊が大量発生しますので正解になります。つまり、草むらが直接の原因ではなく、幼虫が育つ水溜まりができることが発生の原因です。日本の草につく「つゆ」では、とても幼虫が住めるスペースはありませんし、餌もないので育ちません。すぐに乾燥してつゆもなくなります。蚊も産卵場所を選択していますので、そういう所に間違って産むこともないと思います。「草のつゆにたとえ産んでも孵化までもたない」という表現は、実験したわけではありませんが、今度は誤りになるかもしれません。つまり、ヒトスジシマカなどの場合、一度産卵されれば、水につかればとにかく孵化はしますので。ただ、孵化しても死ぬだけです。