蚊が媒介する感染症

 

マラリア

ハマダラカ類が媒介し、感染者は2億人とも言われる。日本では根絶されたが、海外で感染するケースや、飛行機内に侵入した蚊が、日本に運ばれ、日本の空港近くに逃げ出して付近の住民を吸血して感染させた例(エアポートマラリア)がある。Service(2000)によると、マラリア媒介蚊は、70種のハマダラカであり、重要なのは40種である。

デング熱(Dengue)

ネッタイシマカ、ヒトスジシマカが媒介する。現在、日本での感染例はないが、海外(アジア、南米等)での感染危険性はある。Service(2000)によると、Aedes aegypti, Aedes albopictus, Aedes scutellarisが媒介する。

日本脳炎(Japanese Encephalitis: JE)

コガタアカイエカ(コガタイエカ)が媒介する。現在では感染者が非常に少なくなったが、感染者は出ている。Service(2000)によると、Culex tritaeniorhynchus, Culex gelidas, Culex vishnuiが媒介する。

黄熱(Yellow Fever)

ネッタイシマカなどが媒介する。野口英世博士が亡くなった病気である。現在、日本での感染例はないが、中南米やアフリカでの感染例が出ている。Service(2000)によると、猿の吸血には、Aedes africanusが、猿と人の吸血にはAedes bromeliae (以前の名前はsimpsoni)が、ウイルスの拡大には、Aedes aegypti, 他のAedesが関わっている。

ウエストナイル脳炎

数種のイエカ、ヤブカが媒介する。1999年秋にニューヨークで感染者が発生し、問題となっている。日本への侵入が危惧される。

フィラリア症(糸状虫症)

アカイエカなどが媒介する。近年の日本ではほぼ根絶された。しかし、犬糸状虫症は感染例が多く、犬を蚊(特にアカイエカ)吸血から守る必要がある。Service(2000)によると、少なくとも38種のハマダラカ、35種のイエカが媒介する。

セントルイス脳炎(St Louis Encephalitis: SLE)

Service(2000)によると、Culex quinquefasciatus, Culex molestus, Culex tarsalisが媒介する。

東部馬脳炎(Eastern equine Encephalitis: EEE)

Service(2000)によると、Culiseta melanura, 様々な種のAedes, Aedes sollicitans, Aedes vexansが媒介する。

西部馬脳炎(Western equine Encephalitis: WEE)

Service(2000)によると、Culex tarsalis, Culiseta melanura, 様々な種のCulexが媒介する。

ベネズエラ馬脳炎(Venezuelan equine Encephalitis: VEE)

Service(2000)によると、様々な種のCulex, Aedes, Psorophora, Mansoniaが媒介する。

その他、蚊に刺されることによって、重篤なアレルギー症状を起こす重症蚊刺過敏症(俗称:蚊アレルギー)の症例が報告されており、皮膚の壊死(えし)や死亡例さえあります。

参考文献
Service, M.W. 2000. Medical Entomology for students. Cambridge University Press.